2014年2月24日月曜日

第3回 omni-cafe 「はたらく」ってなんだろう?


去る22()に第3回omni-cafeを開催しました。
実に半年ぶりのomni-cafeでした。


テーマは 「はたらく」ってなんだろう?

参加者は過去最高の(といっても全3回ですが)21名!!
(事前申し込みは23名までも・・・)
正直、ここまで人が集まったことがなかったので、当日はヒヤヒヤでした。

今回は、平塚市民センターという、昭和のにおいがプンプンする施設で実施しました。(Omnibusのメンバーは、なぜかこの昭和の施設に大興奮でしたw)

omni-cafeタイムテーブル byよこちゃん


たくさんの人があつまってくださったので、今回はいつもと進行を変えてワールドカフェスタイルで実施しました。

まずは緊張をほぐすために自己紹介を兼ねてアイスブレイク。
(一番緊張していたのはわたしかもしれない・・・w
みんな笑顔(^^) アイスブレイク大成功!(時間配分以外w)

思った以上に自己紹介に盛り上がり、なんと、ここまでで1時間も・・・。
時間配分をあやりました・・・だけど、皆さんが仲良くなれたかもしれないです(^^)vあくまでも前向き!




あたたまってきたところで(あたたまり過ぎ?!)、テーマである「はたらくってなんだろう?」にあわせて、ここに集まった人たちと話し合いたいお題を参加者から募集しました。


今回のメインファシリテーター あず!


いただいたお題は4つ。
(1)なんのためにはたらいていますか?
(2)何歳まではたらきたいですか?
(3)自分らしくはたらいているとき、自分らしくないとき
(4)食いぶちとしてのはたらく以外にあるとすれば、何がありますか?


(各テーブルのOmnibusスタッフが内容を書いてくれました。だいぶ簡潔にかいてくれましたが、ちょっと長いです)


お題(1)なんのためにはたらいていますか?

“なんのために”はたらいていますか?
このテーブルでは、テーマが大きかっただけに、さまざまな視点からの対話があったようです。


「お金」家族を養うため。ライフサイクルの中でも子供がいるなどの時期はお金がかかる。自分のために働くなどは余裕が出てきたら。時期によって変わるのでは。お金が無いと何のためになど考えない。男性は特に大黒柱的に働くという選択肢以外無い場合もある。

自分のため。地域のため。自分がやりたい仕事をつきつめていくと、仕事は一人でやるものではないから「情けは人のためならず」ではないが自然と人のため、地域のためなど別の目的につながって行くのでは。

女性は男性の働き方にあわせたり、主婦や子育てということもやっていて変化がある。

日本国民は働いて納税をするという義務がある。様々な事情で働けない人はどうするのか?障害年金を受給していてもそこから税金を払うシステムではなく先に引かれている。そうではなくて、自分が払うことで「参加」しているという気持ちも生まれるのでは。納税した後に使い道などが良くわからない。権利としての納税になるよう、「取られている」のではなく「こういうことに使うから自分が納める」という気持ちがもてるような徴収の仕方ができるとよい。

地域のためはたらいているがお金にならない。これでは続けていけない。お金を生み出すシステムづくりをしたい。人と人とのつながりの中から仕事が生まれてくるのではないか。

収入を得るだけが「はたらく」なのか?他にもはたらくことの意味はあるのではないか?はたらくことの目的自己承認、参加、役割を得る、アイデアを出すなど金銭的な対価を得ることだけではない。現状があまりにも金銭的な対価を得ることに重きを起きすぎているのではないか?

「自分のためにはたらく」という視点では、短期的な印象しか受けないがその自分も変わっていくのでは。自分が先輩になれば後輩に教えていくなど、自分のためだけでない、自分が提供するという立場にもなりうる。お互いに提供しあう、という考えを皆が持てると変わるのかもしれない。

by Omnibusファシリ:しず


お題(2)何歳まではたらきたいですか?

何歳まではたらきたいですか?
 ここのテーブルでは、まず初めに、テーマ提供者から、「できることなら、今すぐにでも仕事を辞めたい!世界中日本中旅をしたいし、本やゲームを一人で楽しみたい」「仕事なんてしたくない!」「皆さんどうですか?」との質問がありました。

最初のラウンドでは、テーブルに集まったメンバーの多くは、稼ぐ形の働くは退職したとしても、地域や自分の得意を生かして一生何か役割をもっていたい、地域で何か貢献していきたいという人がほとんど。テーマを提供してくれた方は驚き、「自分は今の仕事に向いていない気がする、いい仕事だとわかっているが、人と関わる仕事が苦手」といい、そんな気持ちではたらいているため、今回のテーマを投げかけたかったとのこと。お互いにはたらくことの捉え方を話している中で、今回のテーマの裏に「自分らしい、自分が幸せになるための働くを探している」という本当のテーマが隠されているのではないかと、その場の参加者からいくつかの考え、問題が挙げられた。(深い!)

このテーマから派生して「はたらくとは」について話が展開された。まず、働き方の変化。昔の「働く」には、手を動かし、何かを生み出したり、人に直接かかわることでお金を得るなど直接的なしごとが多かった。ものづくりだったり、商売だったり、働くは目に見えるものだった。仕事の実感がわかりやすく、また子供たちも大人たちの姿を見て働く姿を見ていたし、家の稼業を小さなころから手伝うことで、すでに働いていた。今の学生(参加者の中で学生の頃の話をしてくれた)は、「働く」というイメージが沸かない。沸かないから、やりがいや良い面を感じられない。どちらかというと億劫なもの、義務的なものに感じてしまう。しかし、実際に働いてみたら、楽しい、やりがいがある。しかし、今度は過度に働きすぎる。休まなくてはいけない状態まで働きすぎてしまったという経験談も挙がった。現在の働くは、ほとんどの学生が実際に目で見ておらず、経験していても、稼ぐためのバイト、家族の働くも見えない環境で、自分の仕事を選ぶことが余儀なくされている中で、はたらく心構えや、自分らしい働き方を見出すのは困難ではないかという意見も出された。

そのほか挙がった、はたらくことに関する考えや問題を以下に列挙。
・はたらくとは、人・社会との接点を持ち続けること。稼ぐことだけが働くではない。
・はたらくとは、決して心地よい、自分に合っているものばかりではない。しかし、その中で続けること、葛藤の中で働くことは人をより豊かにする。物質的な豊かさから、精神的な豊かさへかわっていく。
・はたらくという定義にしても、働き方、職業の種類にしても、はたらくということが狭くなった
・稼ぐという意味で働き蜂になった世代が団塊の世代。彼らは仕事がなくなって役割をなくし、日中の活動が見つからず家に一日いる、社会との接点がなくなり、それが、自己肯定の低下や身体的・精神的機能の低下にもつながっているのではないか。

by 
Omnibusファシリ:あず


お題(3)自分らしくはたらいているとき、自分らしくないとき

自分らしくはたらいているとき
自分らしくないとき
  このテーマを問いかけた参加者の方は、 内向性が高いという性格や、社会不安障害(人見知り、あがり症、引っ込み思案)などのため、 コミュニケーションなどで自ら工夫・努力しても、 周囲からの理解・協力が得られず、また当人も強みを活かす機会が見つけにくいことにより、 就職・転職・再就職や、働く毎日のプロセスで困難にぶつかる事例を多く見てきた方でした。  Cafe参加者に対し、「不得意・弱みとうまくつきあいながらも、 得意・強みとなる特性・能力を活かして働く可能性は、どの程度ありうるのか? 周りの人たちの協力を得ながら、実際にはどのように試行錯誤しているのか?」 という問いを投げかけていました。



このテーブルテーマに対し、最初にあがった発言は「仕事を楽しいと感じられるときに自分らしくはたらけていると感じた」。他にも「好き」「モチベーションがあがる」「自分を活かせている」などのキーワードで表現された。自分らしくないと感じるときは望まない仕事内容をしているとき。モチベーションが高まらず、責任感だけで仕事をしているときは「自分らしくない」と感じる。
この話については世代や性別によってとらえ方や主張が大きく異なっていました。50代以上の方や障害をお持ちの方や男性からは、「仕事というのはそもそも楽しいものではない」「仕事内容の選択肢はなかった」「稼ぐことが一番の目的、自分らしさを考えたこともなかった。耐えることが仕事だった」など、「はたらく」を考える中で疑問に思ったこともなかったという意見が聞かれました。

「自分らしく働く自由に働くことができるわがままを通すこだわって働く」
そもそも「自分らしく働いている」とはどういう状態か?この問いに対し、様々な意見がでました。「自由に働ける状態のこと?」「わがままに働きたいという意味ではない」「こだわって働くこと?」「自分らしさ」自体、明確になっているものではない。楽しいことも嫌なことも経験しながら、いろんな刺激によって気づき磨かれていくものが「自分らしさ」ではないか。

どんな仕事内容であっても、楽しもうとするかどうかは自分次第であるという意見も。「仕事」を「志事」に!!という名言も。自分以外の人で「自分らしく」はたらいていると思える人はどんな人かイキイキと働いている人。仕事が楽しそうな人。自分の仕事を天職だといえている人。自己効力感の高い人。志事人。

仕事に限らず、「役割」がみつからない空間は苦痛。「役割」や「居場所」があるということ、「感謝される」など賃金以外の対価によって「自分らしくはたらく」ことに対する価値がえられることも対話を通してわかってきました。

このテーブルでは「自分らしさ」とはなにかという疑問に対しても、考えるきっかけが提供されたと思います。そして、答えはすぐに見つかるものではなく時間と経験の積み重ねによって日々変化していくものでもあるという気づきが生まれました。仕事を志事に!業務内容や環境に対する適性はもちろん大事な要素ですが、楽しもうとするのは自分次第ということも大事な気づきになったと思います。

by 
Omnibusファシリ:よこちゃん

お題(4)食いぶちとしてのはたらく以外にあるとすれば、それは何がありますか?

食いぶちとしてのはたらく以外にあるとすれば
それは何がありますか?
 このテーマでは、そもそも対価としてのお金がないことも「はたらく」があればなに?というテーマだけに、はたらくことに対する対価にお金だけを求めていない人がまず集まりました。

一生懸命することは、すべて「はたらく」ことになる。釣りやギター、旅だって一生懸命やれば「はたらく」ことになる。人のために何かできること、得意なことを活かすこと、自分を活かすこと、みんな「はたらく」につながる。
例えば、「旅」についていえば、どのような移動手段で旅ができるのか、ということをまじめに研究している。旅で景色を楽しむとか、食べ物を味わうとか、そんなことよりも移動手段に関心がある、と言い切る人も。(笑)

だけど、重度の障害がある人は、自分が好きなことや自分を活かして一生懸命するって言ったって、生きていくためのお金がないと生活ができないからそんなこと言っていられない。支えてくれる親だっていつまで生きられるかわからない。
はたらくことから得られる対価や誰かがはたらいた結果から得られるものも含め、さまざま価値観が認め合える社会が必要。例えば障がい者の既成概念にとらわれない独特な世界観を表現する特徴をうまく活かしたエイブルアートもそのひとつ。
「地域通貨」という方法も一つ。地域の中で「得意」などを交換する仕組み。例えば、地域の中に移動が難しいAさんが「駅まで行きたい」と思っていたとする。そのときに車を持っているBさんがそのAさんを駅まで送ってあげる。Aさんは送ってもらったからマイナス1、Bさんは送ってあげたからプラス1。Aさんはそのマイナスを、Bさんに直接返しても返さなくてもよくて、地域の誰かに得意を返せばプラスが加算されるという仕組み。マイナスはすぐに返さなくても10年先でも、それこそ出世払いでもOK。得意の労力や価値によって互いの合意でその値段はかわる。

そもそも自律神経失調症やうつ病など心の病のある人は、 自分がしたいことについて、気持ちや考えを整理し、スムーズに行動するのに支障をきたすことが多い。「はたらく」ってもっと生活に密着していることでは?はたらくことで生活リズムができる。だから、「何のために」というより前に生活のベースをつくるためにも「はたらく」は必要なもの。そして、「はたらく」だけじゃなく「休む」ことも同じくらい重要。休日あってのはたらく!

1つの「はたらく」を生き甲斐にすると危険。その「はたらく」がなくなったときに生きる軸を見失ってしまうから。だから、メインの「はたらく」以外にも楽しめること、夢中になれることを持っていた方がいい。日本では定年制で御勤めが終わる。だけど、死ぬことがはたらくことの終わりになってもいいんじゃないか?


・・・ここで話し合われたことや模造紙に書いてあることを読んで・・・「はたらく」ことは、つまり「幸せをみつける」ことという定義ができました!!

by Omnibusファシリ:ゆっこ



どのテーブルでも、本当にあつく深い語りができたようです。すべてのテーブルに行ってお話を聞きたかった!!!

最後に、テーマをあげてくださった方々に感想を述べていただきました。
真剣に聞く参加者のみなさん

今回のomni-cafeは、スタッフと参加者が協力してこの場を作り上げていただけたな、と終わってからつくづく思えました。ワールドカフェ用に机をセッティングする際の「はたらき」や、積極的にテーマをあげてくださった「はたらき」、エレベーターのない会場で車いすの方を階段からおろす際の「はたらき」、そして何より良い場にしようと皆さんが笑顔で対話して、その後つながろうとしてくださった「はたらき」。。。本当にありがたい限りです。

このomni-cafeは、みんなが主役になり、その主役をみんなで支えるつながりをつくることも目的のひとつ。だからomni(みんなの)-cafeなんです。

今回、この場を一緒につくってくださったみなさん、本当にありがとうございました(*^^*)


※なお、cafeでの発言内容や写真の掲載については、参加者の許可を得ています。



<参加者の声>
今回参加してくださった方々にアンケートをとらせていただきました。


①印象に残ったこと、新たな気づきは何ですか?
  • 仕事への感謝
  • はたらく=「働く」「労働」の認識から、「生きがい」「やりがい」へ見方の変化があった。
  • 働きたくても働けない人の多様な働き方をさらに探求したい。
  • 死ぬまで働く、仕事以外の働くが見つかりました。
  • 自分のための幸せを見つけたいと思ったこと。
  • 自分らしくないときに気づくからこそ、自分らしさを感じられる。
  • 仕事は幸せになるためのもの、とても良いなと思いました。とはいえ、地道に稼ぐことも馬鹿にしないでほしいなと思います。
  • 働くことは楽しいだけじゃないつらいこともある。でもその中で幸せを見つけていくって素敵だなと思いました。
  • はたらきたくても働けない・選択できない方々の気持ち
  • 生きること全てがはたらくこと。


②今後の生活やお仕事にどんな影響を与えそうですか?
  • 生きがいについて話していきたいと思った。
  • 復職する患者様と仕事について話す機会があるので、働くについて広い視点で見れるようになりそうです。
  • ワクワクいきいき働ける。
  • 働くことの意味と幸せが結びつきました。
  • 自分やクライエントさんのメンタルヘルスマネジメントや職業人としてのアイデンティティを自問自答試行錯誤していく上で影響を与えそう。
  • 今の仕事につけてよかった。自分らしいという言葉が嫌いでしたが、少し変わりました。
  • 仕事をしていく上でのやりがいが持てるようになりました。



③イベント全体に関してよかった点、改善すべき点をお聞かせください。
  • 話が弾んだので楽しかった。時間の管理でしょうか(笑)
  • 時間が足りないくらい、いい時間だった。
  • もう少し開催時間を早めては?
  • 働くについて、いろんな角度から話ができて楽しかった。
  • 老若男女いろんな人と話ができてよかった。
 
④今回の満足度を10点満点であらわすと?
  • 8点  :  1人:7.7
  • 10点:11人:84.6
  • 11点:  1人:7.7%(K点越えww)



⑤取り上げてほしいテーマは?
介護、障害、お金、つながる、発達障害、地域高齢者福祉、働く続編、生きがいの見つけ方



<編集後記>
第3回を開くまでにずいぶん時間がかかってしまいました。
メンバーはみんなこのcafeに力を入れてくれている人ばかりなので、テーマを1つ決めるにも結構何度かMTGを重ねます。Omnibusのメンバーは行動力あふれる人ばかりなので、みんなのスケジュールを合わせるのに苦労・・・。

今回、「はたらくってなんだろう?」というテーマで心にピンと引っかかる方が多かったのか、たくさんの方にご参加いただけました。平塚だけではなく、都内等から足を運んでくださる方々もいらっしゃいました。そして、なんとなんと代表西野の幼なじみや高校時代の後輩が参加してくれたことは非常に嬉しかったです。そしてそして、平塚市内で活動している市民活動家の方々が参加してくださったのは今後心強いことです。

アンケートを読んでいて、このomni-cafeの目的(「日々の行為・活動に目を向け、意識することで自分らしく健康的に生活してほしい」「社会的に弱い立場にある人たちに気づいてほしい」)が少しでも達成できているように感じられました。これもとても嬉しいことです。

そして、私自身、何かと去年は「はたらく」関連の講演やワークショップ、書籍等を読む機会に恵まれました。このテーマが決まったからというわけではなかったのですが、何か自分に引っかかることがあったんだと思います。このテーマのomni-cafeを主催した張本人ですから、自ら「はたらく」を見直し、新年度からあたらしいはたらき方をしていきたいと思います!



今後とも、どうぞ宜しくお願いいたします!!


Omnibus 代表 西野由希子

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